一度に経費に落とせる金額

「いくらまでなら一度に経費に落とせるの?」
とお客様や税務相談にこられた方によく聞かれます。そこで次のとおり答えを記載します。

(1)基本は、1つ又は1組が10万円未満の資産までなら一括経費計上可
(2)10万円以上20万円未満の資産については、3年均等償却も可
(3)青色申告書を提出する個人事業者及び法人(中小企業者)が、30万円未満の資産を購入した場合、確定申告書に明細書を添付すれば一度に経費計上可
(H18.4.1以後取得する資産については、年間(一事業年度)300万円以下まで)

つまり、現在の税法では、1つ又は1組が30万円未満のものであれば、一定の条件の下、一括経費計上が可能なのです(「確定申告書に明細書を添付」することを忘れやすいので要注意!!)。

しかし問題点もあります。市役所に提出する「償却資産申告書」上に、(3)に該当する資産は、計上しなければなりません。償却資産申告書、つまり固定資産税(資産額×1.4/100)がかかる対象になってしまうということです((1)(2)の処理を行った場合には、固定資産税の対象にはなりません)。

また、どこまでを1つ又は1組とみるかも問題です。たとえば応接セットで、テーブル15万円、イス6万円×4個だったとしても、テーブルとイスで一つの機能を果たすため、これは全体で1組と見るべきでしょう。

ですので、購入資産状況、事業者それぞれの事情、財務状態などを検討し、一括で経費に落とすべきか、数年にわたって償却すべきか、検討すべきでしょう。(・・・ここでベストアドバイスができるかどうかが、税理士の仕事です)

また、30万円「未満」というところが非常に大事なところです。つまりちょうど30万円では、一度に経費にはできないということです。30万円を1円でも下回るように気をつけましょう。

(文章をわかりやすくするため、一般的に問題なさそうな細かい条件は省略して記載しております。税務署や顧問税理士さんに確認の上、処理されることをお勧めいたします)

平成18年度税制改正(交際費)

今回は税制改正のうち、一番身近な交際費の改正点についてお話します。

資本金1億円以下の会社についての交際費課税は下記のとおりです
1.交際費年400万円までの部分は10%損金不算入
2.交際費年400万円を越える部分は全額損金不算入
(損金不算入=税金計算上、経費として認めない)

今回の改正で「一人当たり5,000円以下の飲食費」(役職員間の飲食費(社内飲食費)を除く)は、損金算入を認める、つまり上記交際費から除外するということになりました。

この一人5,000円までの飲食費を区分していない方が、結構いらっしゃるように見受けられますがいかがでしょうか。だれと何人でいったかをはっきり帳簿等で明示しておくだけで節税になります。よく確認しましょう。

ちなみに税金計算上の「交際費」とは、接待交際費以外の経費科目にしていても該当する場合があります(その逆もあります)。広告宣伝費、売上割戻しなどの費用については注意が必要です。一番区分すべきは「会議費」ではないでしょうか。取引先との食事をしながら打ち合わせなどは、「交際費」ではなく「会議費」で、100%損金です。領収書だけでは交際費なのか会議費なのか判別できないので、伝票帳簿等で会議費である旨の記載が必須です。また「情報提供料(紹介料)」についても、税金計算上の「交際費」扱いになるケースが多いので、注意が必要です(ここでは詳細解説は省略します)。

1.「一人5,000円以下の飲食費」として交際費等の範囲からの除外する場合の要件
その飲食費(社内飲食費は除く)に関して次に掲げる事項が記載された書類(請求書又は領収書)が保存されていることが要件です。
(1)飲食等があった年月日
(2)飲食等に参加した、事業に関係のある者(取引先等)の氏名とその関係
(3)その飲食等に参加した人数
(4)その費用の金額、お店の名前・所在地
(5)その他参考となるべき事項。
(2)は社内飲食費でないことを明らかにするために必要です。(3)の記載がないと一人当たり5,000円以下かどうかが判別できません。記載漏れが有る場合、追加記入しておくか、伝票帳簿等に記載するか、とにかく第3者が見ても判別できるようにしておくべきでしょう。

2.お店で飲食したのもでなければいけないのでしょうか?
たとえば取引先の業務遂行や、イベント等に際し差し入れした「弁当代」(差し入れ後、相応の時間内に飲食されることが想定されるものが前提。たとえば単に飲食物を贈答する行為は、中元歳暮と変わらないことから交際費等に該当します。)、飲食店で飲食した後にお持ち帰りの「お土産代」などは、交際費等の範囲から除外する飲食費に該当します。

3.「一人5,000円以下の飲食費」には次の付随費用は含まれますか
(1)テーブルチャージ料(2)サービス料(3)送迎費用

(1)(2)は含まれます。飲食するために必要な費用として、飲食店に直接支払うものは含まれます。(3)は飲食のための費用ではなく、飲食を目的とした送迎という行為のために支出するものであり、通常飲食店等に直接支払うものでもないので含まれません(通常の交際費に該当し、損金不算入の対象になります。)。したがって一人当たり5,000円以内かどうか算定する上でも、飲食費に送迎費用は加算する必要もありません。

4.社内の従業員に対する飲食費(社内飲食費)は?
社内の従業員に対する飲食費は交際費等の範囲から除かれる事は有りません。つまり一人5,000円以内かどうかは関係ありません。しかし「会議費に該当する」など別の名目で交際費等から外れる可能性はあります。仮に取引先が1人だけ参加している場合、自社従業員等が相当数参加する必要がある場合は、この社内交際費には該当しませんが、形式的に1人だけ参加させていると認められる場合は社内飲食費に該当することになります。

5.親会社・子会社の役員等への飲食費
その資本関係が100%であっても、また連結納税の適用を受けている場合であっても、社内飲食費には該当しません。

6.ゴルフ・観劇・旅行等に際しての飲食費は?
それら(ゴルフ・観劇・旅行等)の実施のための、一連の行為の一つとしてみます。したがって交際費等に該当します。逆に一連の行為とは別に、単独で行われていると認められる場合、たとえば旅行の全日程が終了、解散した後に、個別に食事をした場合などは、交際費等の範囲から除かれる飲食等に該当します。

7.5,000円の判定の仕方
各人の実際の飲食費用ではなく、その「全体飲食費用÷飲食参加人数」で判定します。
たとえば一人当たり6,000円になった場合、「5,000円は交際費等から除外される飲食等で、残り1,000円が交際費等」ではなく、「6,000円」が交際費等となります。
一次会・二次会など連続して飲食等があった場合、まったく別の業態の飲食店等を利用しているなど、それぞれの行為が単独で行われている場合には、別個に切り離して5,000円以下かどうか判定します。実質的に同一店で支払だけ分割している場合は、認められません。

8.会議費で一人当たり5,000円を超えてしまった場合
もともと会議費は交際費等ではないので、その費用が通常要する費用として認められるものである限り、交際費等には該当しません。飲食店で取引先との打ち合わせをした場合などは、その旨を記載し、接待交際とは科目を別にするなどして、区別することをお勧めいたします。

9.5,000円は税込?税抜?
自社の経理方式によります。税込経理をしている会社であれば、税込で5,000円以下かどうか、税抜経理をしているのであれば税抜で5,000円以下かどうか、判定します。
余談ですが、これは固定資産の判定の際にも同様です。原則1つ(1組)の価額が、10万円以上のものを固定資産といいます(特例もありますが、ここでは省略します)。10万円未満かどうかは、その会社の経理方式が税込経理でしたら税込で10万円、税抜経理でしたら税抜で10万円未満かどうか判定します。となると税抜経理の方がちょっとお得です。

10.相手方(事業に関係のある者)の氏名名称及びその関係の書き方
「○○会社・◇◇部・××△△氏、仕入先」などと記載する必要があります。これにより社内飲食費でないことを明らかにします。(氏名等一部不明の場合や、多数参加の場合は、「他10名」などと表示するなど省略可)

11.適用開始時期は
平成18年4月1日以後に開始した事業年度から適用になりますので、適用開始時期は各会社によって異なります。たとえば6月決算の会社の場合、平成18年7月1日以後に発生する飲食等の費用から、この規定が適用となります。

(参考文献:平成18年5月「交際費等(飲食費)に関するQ&A」国税庁)

有限会社が検討すべき会社法

 平成18年5月より、新「会社法」が施行されました。既存の有限会社が検討すべき会社法への対応について、要点をまとめてみました。

1.有限会社はもうつくれない!?
新会社法施行に伴い、今後「有限会社」を設立することができなくなりました。今まで存在していた有限会社は、なにも手続きをしなければ、従来どおり「有限会社」として存続できます(法律上は「特例有限会社」となります)。「有限会社」という名前を維持していけば、将来プレミアがつくのではないか、という話もありますが、平成16年の会社総数約257万社、うち有限会社143万社(出典:国税庁「税務統計から見た法人企業の実態」)も存在しますので、もしプレミアがつくとしても相当先のこととなりそうです。

2.現状のまま株式会社に変更可能
 変更登記さえすれば資本金はいくらでも、また取締役1人でも「株式会社」と名乗ることができます。ただし株式会社にすると、同じ人が引き続き役員であり続ける場合でも、一定期間ごとに役員変更登記をしなければならなかったり、印刷物や印鑑などの変更手続きがあったりで、費用も手数もかかります。株式会社になったからといって金融機関が、今までよりお金を貸してくれることもほぼありません(株式会社であれば設置可能な、会計参与制度を採用した場合、一部金融機関で金利優遇する商品があるようですが・・・)。となると株式会社にするメリットは、取引先等への見た目の問題だけかもしれません。

でも「株式会社」となったら、トヨタ自動車もソニーも資本金1円の会社も一見は同じ「株式会社」です。ちなみに今のところ、有限会社から株式会社への変更期限はありませんので、株式会社にしようかどうか迷っておられる方は、周囲の状況を見極めてからでも遅くはないでしょう。

ちなみに資本金は該当会社の登記簿謄本をみると記載されています。現在はオンライン化が進んでおり、お近くの法務局で遠方に本店のある会社の登記簿謄本も取得することができます(一部取得できないところもあります)。また登記簿謄本は誰でも取得することが可能です(この点はよく質問を受けます)。登記簿謄本は、これから取引先の信用調査などには、ますます欠かせないものとなるでしょう。

【旧法】有限会社は資本金300万円以上、株式会社は資本金1,000万円以上と決まっていました。役員の人数は、有限会社は1人でも可能でしたが、株式会社は取締役3人、監査役1人が必ず必要でした。要するに株式会社の簡易版が「有限会社」でした。

会社法の解説(超簡潔版)

会社法がH18.5.1より施行されることになりました。そこで詳しい説明はほかの方に任せるとして、中小零細企業にとって関係ありそうな点だけ、簡潔にピックアップします。

.H18.5.1以後、有限会社は設立できません。既存の有限会社はそのまま存続できます。株式会社に変更したい場合、登録免許税が6万円かかります。
.資本金は1円でも株式会社設立ができます
.確認会社(旧法での1円会社)は、定款変更をし解散事由の廃止による変更登記をすれば増資の必要がなくなります。
(H18.5.1以降に変更登記、登録免許税3万円、詳しくは経済産業省のHPへ)
.取締役1人だけでもOKになりました(従前は取締役3名、監査役1名)。
従って、人数あわせで役員として名前だけ貸してもらう、といった必要がなくなります。
.取締役の任期が最大10年まで延長可能になりました。

(会社法施行に伴い、会社の定款変更を行う場合、個々の会社の事情をよく勘案して、最適なものを選択してください。)

資本金1円でも会社が設立できるというのは、新たな産業創出の機会が増えるという観点から、喜ばしいことだと思います。しかし事業を行うための元手(=資本金)は、もちろん多い方がよいというのは間違いありません。資本金1円で設立しても、設立登記に必要な「金融機関の預金残高証明書(数百円)」をとったら、早くも「債務超過」なんてことに・・・。

今後は、資本金がいくらでも「株式会社」を名乗ることができるため、取引先の信用調査として、今まで以上に登記簿謄本の確認(存在するのか?本店は?目的は?)は重要になっていくでしょう。ゆくゆくは中小零細会社でも率先して財務諸表を公開するなどして、銀行や取引先などへ健全性を積極的にアピールしていく時代になるのでは、と個人的には考えています。(もっとも今でも財務内容の公告制度はありますが、形骸化していますね)